セブンスピリット・スタッフBlog

フィリピン・セブ島を拠点に、スポーツ・音楽教育を通したライフスキル育成に取り組むNPO法人セブンスピリットのスタッフBlogです。

セブンスピリットキッズという宝物

こんにちは。

約2ヶ月間、UUUツアーも含めセブンスピリットにお世話になりましたハルです。

今回セブンスピリットに関わらせていただき、多くの財産を得ることができました。

本当にありがとうございました。


スタジオの子どもたちとの思い出は、思い出せばきりがないほど浮かんできては幸せに感じます。

セブンスピリットスタジオは私にとって再び帰るべき場所になりました。


多くの子どもたちのことを話せばきりがないけれど、特に親しくなったのはインジュン。彼とは兄弟でもあり親友のような存在です。気づかないうちに多くの思い出を一緒につくっていました。


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もともと彼は最貧困地区に住んでいて、セブンスピリットに入る前はストリートで仲間たちと路上で遊んでいました。そこではひったくりやドラッグといった、そういうのに囲まれた場所にいるわけで、そういったことをする仲間もいたそうです。


でも自分が接してきた彼は、笑いあったり泣いたりすねたり駄々こねたり、けんかしたりふざけて怒られたり、、日本の少年と変わらなかったように思えます。


最貧困の地区に住んでるということをのぞけば普通の世界中どこにでもいる少年でした。

ただひとつ確かなのは、僕にとって唯一無二の存在になったことです。


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彼は第2トランペット担当で、自分も少年時代は第2トランペットだったのも何かの縁なのかもしれません。

一緒に隣に座って演奏しているときは楽譜をいつも自分が見やすいように気をつかってくれたり、女の子の話で勝手にニヤニヤしてきたり。


最終日前日に帽子をプレゼントしたら彼は有頂天になって喜んでたのに、その後もごもご言いにくそうに何かを言っていました。

自分は英語が理解できないと思い、「マサさんに翻訳して聞いてもらおう」と提案して言ったら

彼は「それはいやだ、きっと彼は怒る」と言って、自分の手を引いて永田マサさんのいる事務所に一緒に行こうとしませんでした。

後でわかったのは、彼はもうひとつズボンを買ってほしかったそうです。


そういうことか。

自分も子供の頃ゲームカセットがほしい、ほんとは一つじゃなくてあのゲームもほしいと親にもごもご言ってたのを思い出しました。


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最終日、彼が帰っていくのを見えなくなるまでバイバイしました。

彼も何度も何度も振り返ってはバイバイして、角を曲がって見えなくなっても何回もひょこっと顔出して手を振って、

彼はずっと笑っていました。


「Don't forget me!」

帰る日が近づくと何度も何度も悲しい顔で言ってきました。

忘れるわけないじゃん。

どんな少年、青年になっていくか、またいつの日か会いたいな。


角から顔を出さなくなる間隔が長くなっても彼は何度も何度も顔出し遊びをして

自分がいるのを確認して、

しばらく顔を出さなくなって、

本当にずっと見えなくなりました。

いつのまにか夕日が暮れてあたりはすっかり暗くなっていました。

彼のいない道端でたたずんでて、涙が出ました。


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最終日はスタジオが始まる前に、多くのスタジオキッズが住む地区にも遊びに行きました。

本当なら危険な地区なんだろうけれど、

子どもたちがいるかぎりも何も怖くはありませんでした。

みんなで路上でごはんを食べたり遊んだり。

子どもたちが我先にと自分の手をひいて家まで連れてってくれて、兄弟や親を紹介してくれました。


そこには、みんなの笑顔しかありませんでした。


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スタジオが始まる時間になって、子どもたちに抱きつかれながら一緒に手を繋いで歩いて帰りました。

今思うとあのときが人生で最高に幸せな瞬間だったような気がします。

最高の幸せってのは、後々ふと思い出したように気づくものなのかもしれません。


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子どもたちのことを一人一人考えると思い出が尽きません。


ダリの歌うことが苦手で、でも歌も楽器も掃除もいつもがんばってる努力家なこと。


アンジェリンのトランペットが下手で「私できない」っていつも笑い合っては励ましてたこと。


ロエルジョンの甘ったるい声してニヤニヤ話しかけてくること。


ニコルの男勝りで一匹狼な性格でしゃべってもフンって感じなのに最後だけデレデレしてきたこと。


ロアンとの空手遊びで「Kill you!」「You died」言い合ってたこと。


ナターシャのスポーツ大好きでドリブルがロボットみたいなこと。でもいつも楽しそうに動くこと。


ジャスティンの貧しくて病院に行けない膨らんだ体の病気のこと。


キムの失恋のこと。


ヒラリーの写真を撮ると、さらっとモデル立ちしてとびっきり笑顔になること。


ダフニーの「Me Me!!」といつも自分に抱きついてべったりなこと。


ジャスネイルの前歯がなくてお母さんと前歯談義して笑いあってたこと。


ノエラ、ジェリコ、ライザ、エラ、プリンセス、レナト、エンジェル、ジェットロ、アモール、チャールズ・・



この時この瞬間にしか感じられないこと。

子どもは自分がいない間にあっという間に成長していくとおもいます。彼らもまた、自分のこともそのうち忘れてしまうのかもしれません。

もう2度とないこの瞬間しかない宝物のような思い出。

これからも多くのひとがセブンスピリットと関わって、新入生も入って、でも自分にとってはこの時期に出会った子どもたちとの思い出は自分だけのかけがえのないものです。


帰国した今でも子どもたちの自分を呼ぶ声が聞こえてきます。

「Kuya Haru!!」

きっといつか自分も誰が誰の声だか忘れていってしまうのかもしれない。

ただ、スタジオでの日々の記憶は自分だけの一生の財産です。


いつのまにか子どもたちを愛してしまってた。「花は咲く」の合奏曲を、いつの日か目の前で聴けるときが来るといいな。

そろそろ頭を切り替えて、日本で一生懸命仕事がんばろう。


ありがとうございました。


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